私はよく自分のサックスの生徒さんに「音大ってどんな勉強をするの?」と聞かれることがあります。
音楽大学って音楽だけを勉強するように思われがちですが、あくまでも大学なので、一般教養であったり、体育なんかもあったりします。
今回は音大卒の私が、音大でどんなことを勉強したのか具体的にご紹介します。
音大の授業何を勉強するの?
専攻楽器の専門教育科目
サックスの個人レッスンが1年生から4年生まで週に1回ありました。
2名同時に教室に入り、個人レッスンをするのですが、1人がレッスンをしている間、もう1人は聴講です。先輩と一緒だとすごく緊張しました。
選択で専門合奏と呼ばれる、サックスだけのオーケストラや、吹奏楽も週に2時間ずつあり、ほとんどの生徒が受講していました。
私は吹奏楽の授業が大好きで、短期大学部の吹奏楽の授業にも参加させてもらっていました。
音楽基礎科目
音楽の基礎的なことを身につける授業が1,2年生の間に週に各1時間ずつありました。
音楽理論…音楽の理論を勉強する
和声法…ピアノの楽譜などを用いいて和音の仕組みを勉強します。
ソルフェージュ…いわゆる聴音というもので、先生が弾く音を聴いて、楽譜に起こしたり、楽譜を見て正しい音程で歌う勉強をします。
副科鍵盤楽器…ピアノの個人レッスンです。1.2年生は必修、3年からは選択になります。時間は30分ほどでしたが、バロックのソナタ形式の曲からロマン派の曲まで練習します。
副科声楽…声楽(歌)のレッスンです。15名ずつぐらいの少人数のクラスですが、一人ずつ前に出て歌います。
合唱…30名ほどのクラスでイタリア歌曲やドイツ歌曲を合唱します。
西洋音楽史…クラシック音楽を専攻しているので、西洋の音楽の歴史の授業が必修科目にありました。
一般教育科目
一般教養・文学・哲学・日本国憲法・西洋文化史・心理学などの科目がありました。
他の大学と同じような大学生としての一般的な教養を身につけます。
外国語科目
音大では英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語の中から第一言語と第二言語を選択します。
私はフランス語とドイツ語を勉強しました。ドイツ語は本当に難しかったです。
保健体育
1年生の1年間だけですが、体育の授業がありました。
毎回体育館でストレッチから始まり、球技などを中心に授業をしていました。
音大生はボールで突き指をすると楽器が弾けなくなるので、常に柔らかいボールで授業がありました。
その他の選択授業
私はせっかく音大にいるのだから、できるだけたくさん授業を取りたい!ということで、様々な授業を取りました。
教職課程…中学・高校の音楽の教員免許を取得するための授業です。
一般的な教職科目や、指揮法、伴奏法(弾き語りの授業)、リコーダー、ギター、和楽器などの授業がありました。
雅楽合奏…これは完全に趣味のような形で取っていましたが、神社でよく演奏される日本最古のオーケストラを学びました。篳篥(ひちりき)という楽器を演奏したのは今でもいい経験です。
古典楽器…バロックリコーダーの授業を取りました。こちらの授業ではチェンバロと呼ばれるバロック時代のピアノと一緒に合奏をします。サックスではバロック時代の音楽に触れることがなかったので、貴重な機会でした。
卒業論文はどんなことをするの?
私が卒業した音大では卒業時は論文ではなく、演奏をしました。
演奏なのでその時の1回限りが勝負となるので徹夜で完成!なんてことはできません。
この卒業演奏のために、3年生の頃から曲を決めて、本番では大きなホールでソロ(ピアノ伴奏付き)で演奏をします。
15分程度の曲を楽譜を見ずに暗譜で演奏をします。
15分って短く感じるかもしれませんが、演奏していると本当に長いです。
15分のスピーチと考えるといいかもしれません。とてつもなく緊張しました。
年間に10回以上演奏会や本番を経験する
吹奏楽やサックスオーケストラ、合唱は1年に1度演奏会がありました。
サックスの門下(大学でいうゼミ)単位で年に2回ほど演奏会をしたり、他には自分たちでチームを組んだり、ソロで演奏会を開催したりしていました。
ボランティアで老人ホームや幼稚園に演奏に行ったり、地域の行事に参加することもありました。
年間10回以上は演奏会があったので、バイトもできないぐらい忙しさを感じていましたが、様々な演奏会の経験は今でも役に立っています!
とある大学3年生の頃の1日のスケジュール
朝7時半頃 練習室の予約
この時間にその日の練習室の予約をします。
例えば、5,6限に授業がない時はその間の練習室を取っておかないと、練習場所がないからです。
午後から学校に行ってもなかなか練習室が空いていることがないので、とにかく朝早くに学校に行きます!
0限 朝練習
1時間目が始まるまでの1時間半を0限と呼んでいました。
この時間はだいたい毎日個人練習をします。
個人練習の内容はスケールやエチュード(練習曲)などの基礎練習をしていました。
1限 教職教養
音大では座学の授業もあります。
基本的にこの時代はPCを使うこともなかったので、手書きで板書をしたり、レポートを提出したりしたいました。とても大変だった記憶があります。
2限 指揮法
指揮法は選択授業の一つでしたが、私は3年間履修していました。
オーケストラの楽譜の指揮を勉強します。
よく練習したのは年末にも恒例のベートーベンの「第九」です。
誰かが指揮をしている間は、他の生徒は演奏をするという形でした。
昼休み
お弁当を自分で作って食べていたことが多いです。
お弁当を食べたら急いで次の授業の準備です。
3.4限 専門合奏(サクソフォーンオーケストラ)
専門合奏とは、サックス専攻生のみの合奏の授業です。
ソプリロ、ソプラニーノ、ソプラノ、アルト、テナー、バリトン、バス、コントラバスの8種類の楽器を使っての大合奏をします。
私はよくバリトンを演奏していました。
オーケストラの楽譜を編曲して、演奏します。
サックスは歴史が浅く古典時代の曲がないので、合奏でバッハなどを勉強しました。
放課後(5.6限) 室内楽の練習
ほとんどの授業は4時間目で終わることが多かったので、ここからは放課後です。
この日は次の日の室内楽の授業に向けて、メンバーで合わせをします。
だいたい週に2回ほど授業以外に合わせる時間を取っていました。
サクソフォン四重奏曲をメンバーで意見を言い合って練習します。
夜の20時30分まで練習室が使えるので、その時間まで頑張っていました!
今回は音大の授業を紹介しました!
意外と皆さん知らない分野の授業もあり、びっくりされたと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。